リスティング広告の効果が出にくくなった本当の理由|AI時代に成果を出す新しい考え方 - Highend

リスティング広告の効果が出にくくなった本当の理由|AI時代に成果を出す新しい考え方

AI時代のマーケティング

著:落合 隆文
公開日:2026年07月27日
更新日:2026年07月27日

「以前と同じ広告費をかけているのに、新規のお客さんが取れなくなってきた」

 

そういったご相談を受けることが、最近増えてきました。数字で見ると、コンバージョン率はほとんど変わっていない(むしろ上がっている)のに、クリック単価が上がったことでCPAが悪化している。

あるいは、クリック単価は横ばいでも、インプレッションシェアが下がって広告の露出そのものが減っている。どちらのケースも、結果として「新規顧客の数が減る」という現象として現れます。

 

これは気のせいでも、運用の腕が落ちたわけでもありません。広告の「外側」で、検索環境そのものが変わってきているからです。
この記事では、その構造変化の正体を整理した上で、今この環境の中でも広告を使って成長し続けるための考え方をお伝えしていきます。

 

この記事でわかること

•リスティング広告の効果が出にくくなっている本当の原因
•クリック単価が上昇し続けているのに広告で成長し続けている企業がやっていること
•AIの台頭で検索環境に何が起きているのか
•広告単体の最適化だけでは対応できない理由
•検索エンジンマーケティング全体で戦略を再設計するための考え方

 

目次

何が変わったのか:検索環境の構造変化

私は17年間広告運用に携わる中で、ここ数年は「広告そのもの」ではなく、「検索環境そのもの」が変わってきたと感じる場面が増えました。

リスティング広告の効果が出にくくなっている背景には、一つの原因があるわけではありません。複数の変化が同時に起きており、それが重なることで、以前と同じやり方では成果が出にくい環境になってきています。

特に大きいと感じているのが、次の3つの構造変化です。

 

① 広告主の増加によるクリック単価の上昇

インターネット広告市場そのものが成長し、広告を出稿する企業が年々増えています。広告枠は限られているため、広告主が増えれば入札競争が激しくなり、クリック単価が上昇していきます。これは市場の成熟に伴う自然な変化とも言えますが、同じ予算で獲得できる新規顧客の数が減るという形で、広告主に直接影響してきます。

 

② AIによる概要の表示による検索結果ページの変化

2024年以降、Googleの検索結果ページに「AIによる概要(AI Overview、以下AI概要)」が表示されるケースが増えてきました。

ユーザーが検索すると、広告よりも先にAI概要が表示され、疑問やお困りごとがある程度そこで解決されてしまうことがあります。

これによって、広告主から見た「検索してくる人」の質が変わってきています。

以前は、まだ情報収集の段階にあるユーザーも、購買を検討しているユーザーも、同じように広告をクリックしていました。ところが今は、「ちょっと調べたいだけ」というユーザーはAI概要で疑問が解消されて離脱していきます。広告までたどり着き、実際にクリックするのは、より購買意欲の高い層に絞り込まれてきているのです。

 

つまり広告をクリックするユーザーは「AIの一般論に満足せず、シビアに比較検討している層」に絞られます。求められるコンテンツも当然変わり、ありきたりな訴求ではクリックされにくくなっています。そして、絞り込まれた「質の高い見込み客」を、より深く鋭い訴求ができる広告主同士で奪い合う構造になるため、クリック単価は押し上げられていきます。

《出典》4 strategic paid search pivots to survive Google’s AI Overviews

 

③ユーザーの購買行動・意思決定プロセスの変化

以前の購買行動はシンプルでした。ユーザーがキーワードで検索し、広告をクリックし、LP(ランディングページ)で比較検討して問い合わせや購入に至る、という流れです。
ところが今は、このプロセスに新たなステップが加わっています。広告をクリックしてLPを見た後、「AIでも調べてみよう」と、ChatGPTやGeminiといったAIツールに「この会社はどうか」「他に良い選択肢はあるか」と聞いてから意思決定するユーザーが増えてきています。

 

私自身も、サービスや商品を検討するときは、企業のホームページを見たあとにChatGPTへ「この会社の評判はどうだろう」「他に比較したほうがいい会社はあるだろうか」と質問することがあります。

おそらく、多くのユーザーが同じような行動を取り始めています。広告やLPだけでなく、その会社全体がどのように評価されているかまで確認してから意思決定する時代になってきているのです。

 

これは広告主にとって大きな変化です。以前はLPの品質と広告の精度が成否を左右していました。しかし今は、AIに聞かれた時点で「この会社の評判はどうか」「サイト全体の情報量や信頼性はどうか」という観点で判断されるケースが出てきています。つまり、広告とLPだけを磨いても、それだけでは届かない意思決定が増えてきているのです。

広告単体の最適化だけでは対応できない理由

検索環境がここまで構造的に変わってきている中で、広告の管理画面の中だけで成果を改善しようとしても、限界が見えてきています。それには、いくつかの理由があります。

 

自動入札の普及によって、競合と狙う顧客層が似通ってくる

以前は手動入札が主流で、どの顧客層を狙うか、いくらで入札するかという判断にも各社のばらつきがありました。今は多くの広告主がGoogleやYahoo!のAIによる自動入札を使い、同じプラットフォームのAIが学習データをもとに「成果が出やすい顧客層」を判断しています。

その結果、各社の見立てが似通ってきます。「この層は反応が良い」と判断された顧客に、複数の広告主が一斉に入札を寄せていく。優良顧客層への競争が一点集中し、その層のクリック単価がさらに押し上げられていく。自動入札の精度を上げれば上げるほど、競合と同じ顧客を奪い合う構造になっているのです。

 

検索結果ページとユーザー行動が変わっている

加えて、先ほど整理したように、検索結果ページの上部に「AIによる概要」が表示され、広告の表示位置や露出は以前と同じではありません。ユーザーも広告をクリックしてLPを見た後、AIで「この会社はどうか」「他に良い選択肢はないか」と裏取りをしてから意思決定するようになってきています。
つまり、コンバージョンに至るまでの道のりに、広告主が直接コントロールできない領域がいくつも増えているということです。

 

広告の中だけでは届かなくなっている

これらを踏まえると、入札戦略の調整、キーワードの精査、広告クリエイティブの改善といった「広告の中での最適化」は、もちろん今も重要ではあるものの、それだけで十分な成果を出すのが難しい時代になってきていると言えます。
弊社でも、長年お付き合いさせていただいているクライアント様に対して、近年は広告の運用改善だけでなく、検索エンジン上での見え方全体をどう設計していくかという視点での支援に比重を移してきています。SEO・サイト改善・Googleビジネスプロフィールの整備・AIに引用されやすいコンテンツ設計など、広告の枠の外にある施策を組み合わせることで、検索エンジンを通じた集客全体の質を上げていく方向です。

これからは「検索エンジンマーケティング全体」で考える

Googleは「検索意図を満たすコンテンツ」を活用する方向へ進んでいる

弊社のクライアント様の運用データを分析する中で、私は、Googleは広告・SEO・AI検索を完全に別々のものとして考えているのではなく、「検索意図を満たすコンテンツ」を検索体験全体の中で活用する方向へ進んでいるように感じています。

例えば、AIを活用した広告運用では、広告のリンク先をAIが選ぶ機能が登場しています。広告主はサイト内のどのページをリンク先候補にするかをAIに任せ、AIはキーワードごとに「最もコンバージョンにつながりやすい」と判断したページを選んで広告を表示します。
ここで興味深いことが起きています。

 

事例:住宅リフォーム業者のケース

弊社のクライアント様で、住宅リフォームを手がけている事業者様がいらっしゃいます。長年広告運用をご支援する中で、AIを活用した広告運用に切り替えていったところ、以下のような現象が見られるようになりました。

「キッチン リフォーム 費用 相場」というキーワードで広告が表示された際、従来であれば広告のリンク先はトップページやリフォーム一覧ページに設定するのが一般的でした。ところがAIは、サイト内に蓄積されていた「キッチンリフォームの費用相場と内訳を解説したコラム記事」を広告のリンク先として選び、そこから問い合わせ・成約が取れるようになっています。

「浴室 リフォーム おすすめ」というキーワードでは、AIが選んだのは「浴室リフォームで失敗しないための選び方を解説した記事」でした。やはりここからも問い合わせが取れています。

 

このような事例は、住宅リフォームだけではありません。他業種でも同様の傾向が見られ始めています。私自身、このような事例を見るまでは「広告用のLPを最適化することが最も重要」だと考えていました。しかし現在は、SEO記事であっても、検索意図を満たすコンテンツそのものが広告の成果にも影響する時代になってきていると感じています。

 

これらの記事には共通点があります。もともとはSEOを目的に、検索意図を丁寧に汲み取って作成されたコラム記事だということです。それらの記事が今、検索エンジンの自然検索で上位表示されているだけでなく、広告のリンク先としても活用され、成果につながっているのです。

 

検索意図を満たすコンテンツが「資産」になる

この事例から見えてくるのは、検索意図を満たす良質なコンテンツを蓄積していくことが、これからの検索エンジンマーケティング全体の土台になるということです。

そうしたコンテンツは、次のような形で複数の経路から成果に貢献してくれます。

つまり、一つのコンテンツが「広告のLP」「SEO記事」、そして将来的には「AI引用元」という複数の役割を兼ねるようになってきているということです。

 

ただし、AIによる引用に関しては、SEOや広告とはまた別の対策が必要になる側面もあります。AIに正しく理解され、引用されやすいコンテンツの作り方には、独自のノウハウが必要です。それでも、検索意図を丁寧に汲み取って作られた質の高いコンテンツであれば、適切な対策と組み合わせることで、結果的にAIにも取り上げられやすくなっていきます。

いずれにせよ、検索意図を満たすコンテンツの蓄積は、資産として複利的に効いてくる構造になっています。

今後、AI概要(AI Overview)やAIモード内にも広告枠が拡大していくことが発表されています。そうした変化の中でも、「検索意図を満たすコンテンツの蓄積」を持っている事業者は、新しい広告枠やAIの活用機会に対しても有利な立ち位置を取れるはずです。

広告・SEO・AIOを一体で考える

これらを踏まえると、これからの検索エンジンマーケティングは、広告は広告、SEOはSEO、AIO対策はAIO対策と切り分けて考えるのではなく、「検索意図を満たすコンテンツ」を中心に据えて、すべてを一体で設計していくという発想が重要になってきます。

弊社では現在、長年お付き合いさせていただいているクライアント様に対して、こうした考え方をもとに以下のようなご支援に取り組んでいます。

•最新のSEO・AIOのノウハウのご提供
•どのようなテーマのコンテンツを優先的に発信していくかの設計
•サイト全体の構成・情報設計の見直し
•AIを活用した効率的かつ質の高い記事制作の方法

なお、本記事で触れたAIを活用した広告運用(AI Max等)の具体的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

関連記事:[広告のリンク先は、広告主だけが決めるものではなくなりつつある―AI Maxが変えるリスティング広告の新常識

検索環境が変化している今、求められる3つのこと

ここまで、検索環境の構造変化、広告単体の最適化の限界、検索エンジンマーケティング全体での設計について書いてきました。AIオーバービュー、AIによるリンク先選定、検索意図を満たすコンテンツの資産化など、近年の変化に伴って、考えるべきことは確かに増えてきています。

それでも、一歩引いて全体を眺めてみると、結局のところ問われているのは、とてもシンプルなことなのではないかと感じています。検索環境は大きく変わっています。しかし、突き詰めて考えると、企業が取り組むべきことは昔より複雑になったわけではありません。

それは、次の3つに尽きます。

 

① 良い商品・サービスを作ること

検索意図を満たすコンテンツも、Googleビジネスプロフィールの評価も、口コミも、結局のところは「中身の良さ」が土台になります。商品やサービスそのものが、顧客の悩みを本当に解決するものになっているか。提供する価値が、価格に見合うものになっているか。ここが揺らいでいると、どんなに表面のマーケティングを整えても、長期的には積み上がっていきません。

 

② それを伝える仕組みを作ること

良いものを作っているだけでは、見つけてもらえません。検索意図に応えるコラム記事、用途別の解説ページ、お客様の声、事例紹介など、顧客が知りたいと思っているテーマに対して、自社の言葉で誠実に答えていく。その積み重ねが、SEO・広告のリンク先・AIによる引用といった、複数の経路から成果を生む土台になります。

 

③ 良い評判を集めていくこと

ユーザーは広告を見ても、LPを読んでも、最後の意思決定の前にAIや検索で「この会社はどうか」と裏取りをするようになっています。そのときに目に入るのは、Googleビジネスプロフィールのレビュー、口コミサイトの評価、紹介で集まる新規顧客の存在、お客様の声です。良い評判が蓄積されていることが、最後の一押しになり、ときには広告がなくても顧客を連れてきてくれます。

 

これらは、特に新しいことではありません。マーケティングの世界で昔から言われている、ごく当たり前のことです。
ただ、検索環境が変化している今、改めてこの3つの重要性が増しているように感じています。なぜなら、検索エンジンマーケティング全体を機能させる土台こそが、まさにこの3つだからです。

 

良い商品があり、それを伝えるコンテンツが資産として蓄積されており、良い評判が集まっている。この3つが揃っている事業者は、SEOでも上位表示されやすく、AIにも引用されやすく、広告のパフォーマンスも上がりやすい。そして結果として、広告だけに頼らずに済む、安定した集客基盤が出来上がっていきます。

「広告に依存しないビジネスを作る」というのは、目的ではなく結果です。目的は、検索エンジンマーケティング全体を機能させること。その土台が、ごく当たり前のシンプルな3つの実践にあるということを、改めてお伝えしたいと思います。

おわりに:変化に対応しながら、本質を探究していく

リスティング広告の効果が出にくくなってきている。この感覚の背景には、検索環境の構造変化があり、AIの台頭による検索結果ページの変化があり、ユーザーの購買行動の変化があります。これらに対応するためには、広告だけでなく、検索エンジン上での見え方全体を設計していく視点が必要になってきています。

 

その中で見えてきた一つの方向性が、「検索意図を満たすコンテンツ」を中心に据えて、広告・SEO・AIOを一体で考えていくというアプローチでした。そして、その土台にあるのは、「良い商品・サービス」「それを伝える仕組み」「良い評判」という、ごく当たり前の3つの実践だということでした。

 

ここまで書いてきて、率直に申し上げると、これらはまだ「答え」ではなく、現在進行形で取り組んでいる探究です。Googleやその他の検索エンジンも、AIも、これからさらに変化していきます。今日有効だったアプローチが、1か月後にはまた違う形になっているかもしれません。ただ、変化の中身がどう変わっても、「検索意図を満たす良いコンテンツを作る」「良い商品を作る」「良い評判を集める」という土台が揺らぐことは、おそらくないだろうと感じています。土台がしっかりしていれば、その時々の新しい変化にも柔軟に対応していけます。

 

広告運用という仕事は、表面的に見れば「入札や設定の調整」のように見えますが、本質的にはこうした問いを持ち続け、変化の中で何が変わり、何が変わらないかを見極めていく仕事だと思っています。そして、こうした探究そのものが、広告運用の面白さでもあると感じています。

 

今は、「広告かSEOか」を選ぶ時代ではなく、「検索エンジン全体の中で、どう信頼を積み重ねていくか」を考える時代になったと感じています。

 

弊社では、本記事でお伝えした考え方をもとに、長年お付き合いさせていただいているクライアント様とともに、日々試行錯誤を続けています。新しく見えてきたこと、うまくいったこと、うまくいかなかったことも含めて、これからも発信していければと思います。

 

このコラムが、これからの集客のあり方を考えるきっかけになれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の著者

落合 隆文

Ochiai Takahumi

株式会社ハイエンド代表取締役社長

2006年に起業、2008年に法人化。 著書「Yahoo! リスティング広告 最強のネット集客術(ソーテック社)」 コンセプト設計から集客・販売までの仕組みを作ることが大好きです。 こんなに良い商品なのだから、伝え方が変わればもっと多くの人の手に 届くのに・・・。このギャップを解消したく、適切なコミュニケーション でコンバージョンにつなげることに心血を注いでいます。クライアントさま の成功を自分の成功として感じられるこの仕事に誇りを持っています。