Google広告の「広告の品質」から考える|その会社だから提供できる価値とは何か - Highend

Google広告の「広告の品質」から考える|その会社だから提供できる価値とは何か

web広告 / 顧客心理・マーケティング

著:落合 隆文
公開日:2026年08月17日
更新日:2026年08月16日

目次

「広告の品質」を改めて読んで気づいたこと

広告の成果が思うように伸びないとき、原因は入札や広告文ではなく、そもそも「なぜ自社が選ばれるのか」という部分にあることがあります。

この記事では、Google広告の「広告の品質」に書かれていることを起点に、広告主が向き合うべき「その会社だから提供できる価値」とは何かを考えます。

 

「広告の品質」は、Google広告では昔からある考え方です。

 

Google広告ヘルプの「広告の品質について」というページを見ていたとき、ページ上に表示されたAI生成の回答の中に、

「魅力的で独自のコンテンツを提供する」という言葉がありました。

※2026年8月時点で、Google広告ヘルプ「広告の品質について」のページ上に表示されたAI生成回答をもとにしています。

AI生成回答のため、現在は同じ内容が表示されない場合があります。

 

その回答では、競合他社と差別化できる信頼性の高い情報を提供すること、自社の商品やサービスがどのような課題を解決できるのか、その特徴やメリットを分かりやすく説明すること、さらに顧客の声やレビューによって信頼性を高めることなどが示されていました。

 

ただし、これはAIによって生成された回答です。

この一文や説明そのものを、Googleが編集した公式ガイドラインとして扱うことはできません。

 

そこで気になって、Googleが公開している公式ヘルプを改めて確認してみました。

 

すると、「広告とランディング ページを最適化する」というページには、広告について「独自のセールスポイントを強調する」、ランディングページについて「役に立つ独自のコンテンツを提供する」という記述が実際にありました。

 

Googleは、広告では他社との違いを明確にすること、ランディングページでは商品やサービスについて有益で独自性のある情報を掲載することなどを推奨しています。

表現は異なりますが、Googleが広告主に向けて発信している情報には、「他社との違い」や「独自性」という考え方が確かに出てきます。

 

では、広告主にとって「独自」とは、具体的に何なのでしょうか。

その会社だから提供できる価値とは、どのようなものなのでしょうか。

ユーザー体験の重視は、Googleにとって理念であり、同時に合理的でもある

Googleにとって広告は現在も主要な収益源です。

しかし、広告媒体としてのGoogleの価値は、広告主だけで成り立っているわけではありません。

多くのユーザーがGoogleを利用し、そこで情報を探し、商品やサービスを検討するからこそ、広告媒体としての価値が生まれます。

Googleは2004年のIPO時の創業者レターでも、エンドユーザーへのサービスを最優先事項と位置づけるとともに、広告についてもユーザーにとって関連性があり、有用な商業情報を提供するという考え方を示していました。

つまり、ユーザーにとって良い体験を提供することは、理念であると同時に、Googleの広告ビジネスを持続させるうえでも合理的だと考えられます。

そう考えると、Googleが広告にも「品質」を求めることは自然です。

《出典》Alphabet「Founders’ IPO Letter」

Googleの「広告の品質」を読み解くと、マーケティングの原則が見えてくる

Googleは「広告の品質」を、検索広告をユーザーが目にしたときの体験と、ランディングページへ進んだ後に提供される体験の質を推定したものと説明しています。

そして、先ほど見た公式ヘルプでは、広告で「独自のセールスポイント」を強調することや、ランディングページで「役に立つ独自のコンテンツ」を提供することを推奨しています。

 

こうした内容を実務の立場から読み解いていくと、
ユーザーに、どのような価値を提供するのか。
というマーケティングの基本的な問いに行き着きます。

 

もちろん、Googleが「広告の品質とはマーケティングそのものである」と説明しているわけではありません。

ここから先は、Googleの記述を広告運用やマーケティングの実務から考えた、私なりの解釈です。

 

入札方法や広告文、配信設定を改善することは重要です。

しかし、それらを突き詰めていくと、結局は「なぜユーザーがこの商品、この会社を選ぶのか」というところに戻ってきます。

 

広告運用を突き詰めて考えるほど、マーケティングの原理原則から離れることはできない。

Google広告のヘルプを改めて読んでいて、私はそのことを強く感じました。

「独自」とは、オリジナルの文章を書くことではない

「独自のコンテンツ」と聞くと、他社にはない記事を書くことや、オリジナルの文章を作ることを思い浮かべるかもしれません。

しかし、広告やランディングページで考える「独自」を、その程度の意味で捉えてしまうと少し軽すぎるのではないかと思います。

 

コンテンツの書き方以前に、
そもそも、その会社だから提供できる価値が実際にあるのか。
ということを考える必要があります。

 

クライアントとの打ち合わせで「御社の強みは何ですか」と伺うと、「丁寧な対応」「高品質」「安心」といった言葉が出てくることがあります。

もちろん、どれも大切なことです。

しかし、競合のWebサイトを実際に調べてみると、同じような言葉が並んでいるケースも少なくありません。

 

そこで私は、一度、
競合も提供しているものを共通部分として取り除いたら、自社には何が残るだろう。
と考えます。

 

これは、独自性を機械的に判定するための方法ではありません。

自社の中だけを見ていると、競合も当たり前に提供しているものまで「自社の強み」と捉えてしまうことがあります。

その思い込みを一度外すための思考法です。

 

そして、何か違いが残ったとしても、それだけで価値があるとは限りません。

その違いが顧客にとって意味を持ち、実際に課題解決や選択理由につながっているのかまで確認する必要があります。

 

この記事では、そうして見つけたものを「その会社だから提供できる価値」として考えていきます。

Googleが公式に示している定義ではなく、広告やマーケティングを考えるための実務上の見方です。

「その会社だから提供できる価値」は、どう見つけるのか

では、実際にはどのような順番で考えればよいのでしょうか。

 

STEP1 自社が提供しているものを洗い出す

最初に、自社が顧客に提供しているものをできるだけ具体的に洗い出します。

商品やサービスそのものだけではありません。
専門知識、これまでの経験、相談対応、保証、アフターフォロー、業務の仕組み、スタッフの体制、顧客との関わり方なども対象です。

この段階では、「これは強みではない」と決めつけません。
自社では当たり前だと思っていることが、顧客から見ると大きな価値になっている場合があるからです。

STEP2 実際に比較される競合を調べる

次に競合を調べます。
すべての競合企業を網羅する必要はありません。

地域、価格帯、対象顧客、サービス内容、実際の検索結果などを踏まえ、顧客が比較候補にしそうな企業を複数社見ていきます。

どこまでを競合とするかによって見えてくる違いも変わるため、「誰と比較しているのか」を意識することも重要です。

STEP3 共通部分を一度取り除いて考える

競合を見たら、自社と共通している部分を整理します。

同じ商品を扱っている。
似たサービスがある。
同様の保証や相談対応を行っている。

そうしたものを一度、共通部分として分けて考えます。

ただし、同じ項目があるからといって、そのまま取り除くわけではありません。

たとえば競合も自社も「相談対応」を行っていたとしても、相談時間、担当者の専門性、相談内容の具体性、対応範囲、その後のフォローなどに大きな違いがあれば、顧客が受け取る価値も変わります。

 

また、一つひとつの要素は競合と同じでも、複数の要素の組み合わせ方や提供方法によって、その会社固有の価値が生まれている場合もあります。

そのため、ここで行う「引き算」は、項目を機械的に消していく作業ではありません。

競合と比較したとき、本当に違いとして残るものは何なのかを考えるためのフィルターです。

STEP4 その違いが顧客にとって意味があるかを確かめる

違いが見つかったら、その違いによって顧客の何が良くなるのかを考えます。

どんな悩み、不安、面倒を解決できるのか。
商品やサービスを選ぶ際の判断材料になっているのか。

ここで重要なのは、社内だけで結論を出さないことです。

実際の顧客の声、問い合わせ内容、商談で聞かれること、契約時に選ばれた理由、反対に選ばれなかった理由などと照らし合わせます。

まず仮説を立て、実際の顧客の反応で確認する。
そこまで行うことで、単なる「他社との違い」から、顧客にとって意味のある価値へ変わっていきます。

STEP5 なぜ自社なら、その価値を提供できるのかを掘る

次に、その価値を自社だから提供できる理由を掘り下げます。

商品そのものに理由があるのか。
長年の経験なのか。
特定分野の専門知識なのか。
独自の仕組みなのか。
スタッフの体制や業務フローなのか。
あるいは、それらの組み合わせなのか。

ここまで掘ることで、「丁寧です」「専門性があります」といった抽象的な特徴から、その会社だから提供できる理由へ進むことができます。

STEP6 その価値を証明できるものがあるか確認する

最後に、その価値を裏付ける事実を確認します。

実績、具体的な事例、顧客の声、レビュー、対応件数、実際の業務フローなどです。

「私たちは○○に強いです」と言うだけなら簡単です。

 

しかし、ユーザーが判断するためには、なぜそう言えるのかを示す必要があります。

ここまで整理して初めて、その会社だから提供できる価値を、広告やランディングページで伝えるための材料が揃ってきます。

法律事務所の自己破産を例に考えてみる

ここまでの考え方を、法律事務所が提供する自己破産のサービスを例に考えてみます。

 

以下は、考え方を説明するための仮想例です。

 

ある法律事務所が、自己破産について相談できる、必要書類を案内する、弁護士が手続きを進めるといったサービスを提供しているとします。

 

これらは相談者にとって重要なサービスですが、他の法律事務所も同じように提供しているのであれば、それだけでは大きな違いにはなりません。

 

そこで競合と比較していくと、この事務所には、
相談者が書類準備のどこでつまずきやすいかを把握し、弁護士とスタッフが役割分担して、準備を具体的に支援する仕組みがある
という違いが見つかったとします。

 

しかし、これも「書類準備を丁寧にサポートします」と言うだけでは、顧客にとっての価値はまだ明確ではありません。

 

必要な準備を一人で進めることが難しい相談者にとって、
「何をすればよいか分からず止まってしまう状態から、一つずつ準備を進められるようになる」
のであれば、そこに顧客が受け取る価値があります。

 

実際のサービスであれば、ここで相談者の声や問い合わせ内容、依頼した理由などとも照らし合わせ、本当に相談者にとって意味のある価値になっているのかを確認します。

 

さらに、この仮想の事務所では、多くの案件を扱う中で相談者がどこでつまずきやすいかを整理し、弁護士とスタッフの役割分担や確認手順を業務フローとして整備している、という設定にします。

 

これが、なぜその事務所ならその価値を提供できるのかという理由になります。

 

そして、相談者の声、支援事例、具体的なサポート内容や実際の業務の流れなどによって、その価値を裏付けます。

 

こうして考えると、

「スタッフが丁寧に対応します」という抽象的な特徴から、

「書類準備でつまずきやすいポイントを把握し、一人では進めにくい人でも準備を前に進められるよう支援する」

という、より具体的な価値へ変わっていきます。

見つけた価値を、ユーザーに伝わる形にする

その会社だから提供できる価値が実際に存在していても、ユーザーに伝わらなければ、選ぶための判断材料にはなりません。

 

そこで必要になるのが、その価値を広告やLP、Webサイト上で、ユーザーが理解し、判断できる形にすることです。

 

Googleの公式ヘルプでは、広告について「独自のセールス ポイントを強調する」、ランディングページについて「役に立つ独自のコンテンツを提供する」と案内しています。

 

これを実務に置き換えて考えると、単に「他社とは違います」と書くだけでは足りません。

 

その会社だから提供できる価値について、

誰の何が変わるのか。
なぜその価値を提供できるのか。
そして、それを信じてもらえる根拠は何なのか。

そこまでユーザーが判断できる形にする必要があります。

 

これはGoogleが示している公式な定義ではなく、Googleのガイダンスを実務に落とし込んだ私なりの考え方です。

 

商品やサービスに固有の価値があり、それをユーザーが理解できる形で示す。

 

コンテンツを作るというのは、本来そこまで含めて考えることなのではないでしょうか。

厳しいが、広告に投資するなら向き合う必要がある

ここまで考えていったとき、顧客が自社を選ぶ理由になるような価値が、十分に見つからないこともあると思います。

これは厳しい話です。

 

しかし、大切なお金を使って広告という競争の場に出る以上、この現実から目を背けるべきではないと思っています。

 

以前、あるサービス業のクライアントで、こんなことがありました。同業他社との差が、外からは見えにくい業種です。

 

用意されたランディングページは、競合他社のサイトとほぼ同じ内容でした。書かれていること自体は間違っていないのですが、その会社だから提供できる価値が、どこにも出ていない状態です。

 

「これでは広告を出しても、成果を得るのは難しいと思います」とお伝えしました。ただ、「ひとまずこれで出したい」という意向だったため、一度そのまま配信することになりました。

結果として、問い合わせはほとんど増えませんでした。

広告の設定や広告文を調整しても、状況は大きく変わりませんでした。

 

広告では、ユーザーから競合と比較されます。

そこで「なぜこの会社を選ぶのか」が弱ければ、広告文や配信方法だけを改善することには限界があります。

 

広告は、もともと存在しない価値を作ってくれるものではありません。

 

必要であれば、商品やサービスそのものを見直す。
専門性を高める。
サポートや保証、顧客体験を改善する。
広告を改善するだけでなく、広告で届ける価値そのものを磨く。

広告に大切なお金を投資するのであれば、そこまで含めて向き合う必要があると思います。

 

この「選ばれる理由」そのものと、それを伝える方法を分けて考える方法については、以前の記事「AI広告への投資先を間違えないために|『選ばれる理由』と『その示し方』を4象限で考える」でも詳しく整理しています。

 

参考:「選ばれる理由」と「その示し方」を4象限で考える

AIで「届け方」が変わっても、価値そのものは広告主がつくる

そして、この考え方は、AIによって広告の届け方が変わっても基本的には変わらないと思います。

 

Google Marketing Live 2026の公式ブログでも、AIによって環境が大きく変化する中で、「広告とコマースの本質的な使命が変わることはありません」と説明されています。

 

Googleが示しているのは、人々と、求めている答えや製品、インスピレーションを持つ企業を結びつけるという使命は変わらず、その実現方法がAIによって変化していくという考え方です。

 

AIは、ユーザーの意図を理解し、広告を生成し、適切な商品やサービスとのマッチングを高度化していくでしょう。

 

しかし、その会社だから提供できる価値そのものを、AIがゼロから作ってくれるわけではありません。

 

誰のどんな課題を解決できるのか。
そのために、自社だから提供できる価値は何なのか。

 

広告を取り巻く技術がどれだけ変わっても、この問いに向き合う必要は残ります。

Google広告の「広告の品質」について改めて調べ、そこに書かれていることを一つずつ考えていく中で、私はその重要性を改めて感じました。

自社には、その会社だから提供できる価値があるか。
そして、それをユーザーが判断できる形で示せているか。

広告への投資を考えるとき、まずこの二つを確かめることから始めてみてください。

出典:Google公式「GOOGLE MARKETING LIVE 2026」

 

参考資料
Google 広告ヘルプ「広告の品質について

Google 広告ヘルプ「広告とランディング ページを最適化する」

Alphabet「Founders’ IPO Letter」

Alphabet Investor Relations「FAQs and General Information」

Google公式「GOOGLE MARKETING LIVE 2026」

この記事の著者

落合 隆文

Ochiai Takahumi

株式会社ハイエンド代表取締役社長

2006年に起業、2008年に法人化。 著書「Yahoo! リスティング広告 最強のネット集客術(ソーテック社)」 コンセプト設計から集客・販売までの仕組みを作ることが大好きです。 こんなに良い商品なのだから、伝え方が変わればもっと多くの人の手に 届くのに・・・。このギャップを解消したく、適切なコミュニケーション でコンバージョンにつなげることに心血を注いでいます。クライアントさま の成功を自分の成功として感じられるこの仕事に誇りを持っています。