「そのうち客」を顧客に変える広告の作り方

著:落合 孝文
公開日:2019年1月18日
更新日:2022年11月18日

ディスプレイ広告では、ユーザーの注意や興味を引くことが重要です。
本記事ではユーザーを惹きつける広告文や、デザイン、そして制作のポイントをお話しします。
広告の出来次第でクリック数が増えたり、クリック単価が安くなったりと、
費用対効果に大きく関わる重要な箇所です。しっかりと確認していきましょう。

そのうち客を強烈に惹きつける2つの要素

復習になりますが、ディスプレイ広告はブログやニュースなど様々な目的でWebサイトを閲覧しているそのうち客にアプローチする広告です。

それはキーワード広告やSEOのように、何かを積極的に探している今すぐ客向けわけではないということです。

欲求が頭に浮かんでいないタイミングで広告を表示するのですから、お客さまが自らの欲求に気づいてもらう必要があります。

その潜在的な欲求を引き出すことができる要素は、次の2つに集約されます。

❶悩みの解決策
❷ニュース性

テキスト広告、画像広告、動画広告など、フォーマットが違っても共通して潜在的欲求を引き出す要素になるので、この2点は必ず押さえておきましょう。

❶悩みの解決策

ベネフィットとも言われますが、「お客さまが商品から得られるメリットを指し、その多くが課題や悩みに対する解決策」です。お客様は、自分の課題や悩みを解決する情報を常に求めています。

ディスプレイ広告は、このような人間の心理に訴求する広告なのだということを意識してください。
「自分の課題や悩みが解決するのなら、自然と目が留まり広告をクリックしたくなる」といったように、ベネフィットは強く人を引きつける力があります。

ですから、ベネフィットの役割は商品視点のメリットを説明することではありません。
“お客さまにとって”どんな悩みが解決されるか、どんないいことが起こるかという「商品・サービスを購入することで得られるお客さま視点のメリットを打ち出す」ことが大切です。

例として、サプリメントの広告事例を紹介します。
検索広告では「高品質ローヤルゼリーが1800mg配合 今だけ1ヶ月分1980円」という、成分内容や価格など商品視点のメリットを訴求していますが、ディスプレイ広告では、この広告は相応しくありません。

実際に、クリック率は低く集客ができずにいました。
そこで、この広告を「新発売!更年期世代の女性限定サプリ」というフレーズに変えました。「更年期」というお客さま視点の悩みを打ち出したのです。その結果クリック率は以前の3倍以上を達成し、そのうち客を集めることに成功しました。

私たちは普段から悩みを抱えて生きています。そして潜在的に悩みの解決策を探しています。
ベネフィットを訴求することが、そのうち客を惹きつけるパワフルな要素のひとつです。

どんな商品・サービスにも、解決できるベネフィットがあるものです。
顧客や商品・サービスを見つめ直してベネフィットを見つけましょう。

❷ニュース性

ユーザーの注目を集めるもうひとつの要素が、ニュース性です。

私たちは自分に驚きや好奇心を与えてくれる情報を常に探しているのです。

この世から下世話なワイドショーや週刊誌がなくならないのは、この心理を満たしているからといえるでしょう。このようなニュース性は強力に人を惹きつけるので、ディスプレイ広告でも積極的に取り入れたい要素です。

先ほどのベネフィット訴求広告例の中にも「新発売!」という単語を入れていますが、この単語もニュース性のひとつです。実際にこの単語を入れたパターンと入れないパターンでテストしたところ、クリック率は約20%もの差が出ました。

● ニュース性を出す単語の例
・ 「発見」
・ 「ニュース」
・ 「速報」
・ 「発表」
・ 「新発売」
・ 「最新情報」
・ 「今注目の」

ぜひ工夫して、ニュース性を広告内に入れられないか検討してみてください。サービス自体にニュース性がなかったとしても、表現のしかたや打ち出し方でニュース性を出すことは可能です。

ただしニュース性が過剰になりすぎてしまうと、クリックは集まってもユーザーの期待に応えられない、いわゆる「釣り広告」になってしまう可能性もあります。

また過度な表現はユーザーの信用を損ねて、費用対効果の悪化につながる恐れもあるので注意が必要です。

広告の効果を長期間維持するには

どんなに優れた広告も、時間が経てばクリック率やコンバージョン率が下がってきます。
特にFacebook、Instagram、Twitterなどは広告の配信先がユーザーのフィードということもあり、同じ広告が表示されやすくなり、どうしてもクリック率やコンバージョン率は下がる傾向にあります。

そのため、広告の効果を保つには定期的に新しい訴求や新しいデザインの広告を追加し、ローテーションをさせることが大切です。

そして、継続的にテストをし続け、クリック率、コンバージョン率が高い広告を常に探し続けましょう。テストをしていくと当たる訴求内容が複数見えてきます。それが見えてきたら、あとはそのパターンに則ってデザインを変えるだけでも有利に展開できるものです。

広告作りに必須のスワイプファイルをつくる

「スワイプファイル」というものをご存知でしょうか? 「スワイプ」とは「盗む」、「借用する」など意味で、優れた広告をファイリング(収集)したものを指します。広告を運用する人やマーケティングに携わる人にとっては必須のネタ帳のようなものです。

ディスプレイ広告作成に、スワイプファイルはなくてはならないものです。 生活していて気になった広告を見つけたら保存しておきましょう。私の場合は、DropBoxに専用のフォルダをつくり整理しています。気になった広告を切り取ってファイルに保存する、気に入ったコピーをノートにメモするなど、アナログな方法でももちろん構いません。

ポイントは「あなたが注意を引かれた広告、興味を持った広告を保存する」ことです。 あなたが興味を引かれた広告は、他の人も同様に興味を引かれる可能性が高いからです。そしてどんな点が自分の興味を引いたのか、メモ程度で文面で構わないので、感情を言語化しておくと良いでしょう。

いい広告をつくるためには、いい広告をどれだけ知っているかが鍵です。そしてその広告に触れた際の感情の変化を意識することも重要です。

いい広告は見れば見るほど表現方法やデザインにおいて勉強になり、自分では決して考えつかないようなキャッチコピーやアイデアを得ることができます。すぐにでもはじめられるので、ディスプレイ広告運用の第一歩としてスワイプファイルをつくりましょう。

集める素材は、ディスプレイ広告の広告はもちろんですが、新聞広告や雑誌広告、電車の中吊り広告などにも目を向けましょう。

というのもディスプレイ広告は新しい広告ということもあり、優れた広告に出会える機会はあまり多くありません。ですから他の広告にも注意を向けて、優れた広告をストックしておきましょう。 スワイプファイルが必ずあなたの武器になります。

ディスプレイ広告で反応が取れるホームページの構成

ディスプレイ広告の役割は「そのうち客の潜在的な欲求を引き出して広告をクリックさせ、サイトに来てもらうこと」でした。では“ホームページの役割”はどうでしょうか?

ディスプレイ広告で集まるユーザーの心理は買うモードになってないことが大半です。買うモードになっていないユーザーに、ホームページでいきなり商品・サービスの説明をしてもスムーズに買ってもらえません。ですからまずは、ホームページでは商品売る前にまずは買う気になってもらわなければいけません。

よくホームページを営業マンとたとえられますが、優秀な営業マンほどいきなりセールスすることはしません。まずはお客さまが抱えている悩みを聞くことに徹して、その人が抱えている問題や課題を理解することに努めます。それから自分の商品がお客さまの悩みを解決する商品であることをわからせていきます。

このプロセスを経ることで、お客さまの心理が買うモードにシフトしていくのです。これと同じことをホームページで行えばよいのですが初めての場合、一筋縄では行かないと思いますので、「型(テンプレート)」を用意しました。

この流れに当てはめることで「悩み・問題の特定」から「共感」を経て「解決策」を提示といったプロセスを経ることができるのでディスプレイ広告からでも高い確率で成果につなげることが出来ます。

ディスプレイ広告で反応が取れるホームページの構成

キャッチコピー
こんなお悩みをお持ちではありませんか?
(悩み・問題の特定)

実はその悩みを抱えている人は
あなただけではありません
(悩み・課題への共感)

その悩みの原因が実は
「●●」であることをご存じですか?
(悩み、課題の原因を教育)

その原因を解決するのはこの商品です
(解決策の提示)

商品について説明すると・・・
(商品の説明へと続く)

チェック

❶欲求を引き出す要素は「悩みの解決策」。ユーザーの注目を集める要素は「ニュース性」
❷いい広告をつくるためにも、普段からいい広告を収集してスワイプファイルにストックしておく
❸ディスプレイ広告で反応が取れるホームページには型がある